一般社団法人感共建築ラボ 「4つの事業について」
これまで任意団体であった感共建築ラボですが、平成30年5月1日に一般社団法人として新たなスタートを切りました。そこで法人格となるこの機会に改めて以下の4つの事業目的を定めました。
- 居心地の良さを示す評価指標の研究開発、啓蒙活動事業
- 人間個々に合わせた最適な環境づくりのコンサルタント事業
- 持続可能な環境エリアマネージメント事業
- その他各号に掲げる事業に付帯又は関連する事業
平成30年5月1日策定
上記の事業を推進するために、以下に記しているこれまでの考え方は基礎的基盤となります。
感共建築ラボ 事業目的(グループ設立時)
視覚(景観)的に、または外部の温熱環境(空気の質や温度湿度)を皆で恩恵を受ける空間である「屋外空間」(以下、共空間)を整えながら不動産価値を高める住環境改善には、住宅単独だけで実現するには限界があります。
たしかに、住宅の断熱性・日射遮蔽・気密などの性能を上げることで、自然温熱環境を快適な環境に近付け、また、冷暖房負荷を削減することはそれなりに実現できます。
しかしながら、窓を開放したときに入ってくる空気の空気質を改善し、夏と冬の自然エネルギー有効利用をさらに促進するためには、公空間と私空間の中間ゾーンである「共空間」と私空間と私空間の中間ゾーンである「共空間」の環境を整える必要があります。
※下図は共空間のイメージ図です。
この共空間において、ヒートアイランドの抑制や日射を有効利用する樹木計画、さらには通風効果を高める外構計画など、共空間を温熱対策・騒音対策・匂い(臭い)対策・光量調整・色彩調整などをトータルで整えることにより、住居環境の質の向上が期待できます。そして、住宅街区全体で共空間を整えることにより不動産価値の向上にもつながります。
自立循環→共立循環
世界的な温暖化対策が急務となっていることは、周知の事実となっています。日本では、とりわけ家庭部門の温暖化対策が必要な状況です。スマートハウス、スマートコミュニティなどによる省エネ化対策の研究が進んでいますが、設備頼みの省エネ対策は設備更新時に追加投資が必要となり、持続的な温暖化対策とはいえません。
「感共建築ラボ」では、設備頼みの省エネ対策ではなく、地域ごとの気候風土を利用したパッシブ技術による省エネ化対策と、人間の生理学的能力を利用することで人が本来持っている適応力を復元し極力空調に頼らないスタイルを推進・提唱します。
そのためには、「住宅単独の自立循環」から「住宅街区あるいは町内などの小さなコミュニティー単位での共立循環社会」の構築を推進・提唱します。これにより、小さなコミュニティーの中で共同・共有しながら良好な共空間を形成し、場(スペース)とエネルギーを共有しながら、住宅単独では実現できないレベルに省エネ化した住宅街区を作り出します。
場(スペース)とエネルギーの共有化(シェア)は、皆でシェアするという行為を通じて住宅街区の住民同士の絆を高め、助け合いの精神を育むことを自然と実現してゆきます。「自立→共立」は単なる省エネ化技術ではなく、「地域コミュニティーの再生」にも大きく寄与するものとなります。
このような価値に共感する社会に変革することが「感共建築ラボ」の目的です。
平成27年9月初稿